社運
組織的探索投資力
成績のばらつきを分けてみると、会社そのものの取り分は小さく、しかも研究のたびに動いた
1991年の論文は、同じ紙の上で二つの標本を使い、産業の取り分を8%と4%、事業単位の取り分を46%と44%と報告した。2017年に25の標本を集め直したメタ分析は、いちばん広く使われてきた測り方が、標本の寸法だけでよく言い当てられると書いている。
探索多様性
手を広げるほど良い、は途中で折り返す。そして幅の測り方が、結論のほうを動かしている
55の研究を集めた2000年のメタ分析は、三つの競合する説のうち曲線の説を支持した。単一の事業から関連する多角化へ進むと業績は上がり、関連しない多角化へ進むと下がる。同じ論文が、多角化と業績の操作化の違いから大きな効果が生じるとも報告している。
市場参入・撤退実行力
参入した会社の大半は小さく短命——ただし「大半」の意味は、件数で数えるか産出で数えるかで変わる
米国製造業の5時点のセンサスを突き合わせた研究によれば、各センサス年に参入していた企業は数で約40%、産出で約16%だった。そして初めて観測された年から5年で61.5%、10年で79.6%が、その産業から姿を消していた。
失敗切り上げ速度
やめるのが遅れる説明には、合理と行動と組織の三つとも要った。取り分の配分表は原典に無い
米国の銀行の全数を1984年から1997年まで追った研究は、能力の不確かさのもとでの合理的な遅れを統制してもなお、行動の偏りによる遅れと、所有と支配の分離による遅れが残ると報告した。三つの説はどれも欠かせない、というのが結論である。
市場シグナル感知力
感知する力を量的に測った論文は144本、その中に測り方が232通りあった
枠組みを出した本人が、枠組みは模型ほど厳密ではないと書いている。実証が少ないわけではない——298本を数えた別のレビューは66.1%が実証だと書く。少ないのは実証ではなく、測り方の一致である。
組織的認知バイアス制御力
反対役を置くと判断が良くなる、を測った実験に、現場のものは見つけられなかった
1989年の追試の被験者は、学生ではなかった。戦略計画に携わる昇進の早い中間管理職を集めている。それでも場は実験室である。値切りの軸は、学生か実務家かではない。
探索投資ポートフォリオ判断力
成績とばらつきが逆に動く——同じ形の数字が、歪みからも学習からも、でたらめからも出る
2009年の推定は、見かけ上の効果が観測された負の関係の大きい部分を説明する、と書いている。大きい部分であって、全部ではない。言い切れないところが、この単位の要である。
市場タイミング読解力
景気後退153件のうち、前の年の4月に見込まれていたのは5件だった
とはいえ「まったく当たらない」と要約すると、原典を裏切る。同じ表は、当年10月には153件中118件を当てていることも並べている。当たらないのではなく、遅い。
外部弱紐帯ネットワーク幅
同じ「空隙に立つと得か」を組織どうしで測ると、負・産業で逆・正の三通りが出た
化学産業の97社では、直接の紐帯が正、間接の紐帯も正、その掛け合わせは負、空隙は負。同じ道具を鉄鋼と半導体で測ると符号が反転し、カナダの運用会社では正に出た。
エコシステムハブ設計力
2,458本を集めて88本に絞ったレビューが、この語には合意が無いと書いている
同じ語が、所属の話にも、噛み合わせの話にも使われている。そして2025年に世界の売上の30%という数字は、五段さかのぼると有料のデータベースと専門家の想定で止まった。
組織レピュテーション資本
業績で説明される分を取り除いても、残った分がなお同じ結果を予測してしまった
後光を取り除くという手続きは1994年に提案された。取り除いた残りが何を予測するのかを調べた結果は、取り除く前の成分も同じように効く、というものだった。
アライアンス・協業開放性
「提携の六〜七割は失敗する」を五系統たどると、別のものを測った数字に着いた
30%と70%では倍以上ちがう。ふつう、こういう幅は測定が粗いせいだと読まれる。ところが、たどった先で数えられていたものは、打ち切り・解散・期待未達・不明の四通りに分かれていた。
組織レジリエンス
この単位が扱うのは、定義が見つからない話ではない。定義が多すぎて、どれを使ったかを書かないと数字の意味が定まらない、という話である。そして数え上げたレビュー自身が、この概念はぼやけていると批判されてきたと書いている。
戦略的スラック
「余裕は多すぎても少なすぎても良くない」の原典が数えたのは、2社の中の264部門だった
余りを種類で割ると、話がもう一段変わる。すぐ使える余りと、すでに用途に埋まっている余り。入れ替わるのは符号ではなく、どちらの理論の予測がよく当たるかのほうである。
組織的持続可能性
「長く保てているか」を組織の側で測る道具は、二種類しか見つからなかった
そして質問票の側は、レビュー対象92件のおよそ10件中8件が同じ一つの尺度で、その総合得点は別の尺度と .60 を超える相関で重なっている。さらに、その概念には合意された診断基準が無い。
長期投資意思決定力
「経営者の78%が長期の価値を犠牲にする」を開くと、大きく犠牲にするは2.0%だった
内訳を開くと、大きく犠牲にすると答えたのは2.0%。78%は、小さく犠牲にする52.0%を足し上げて作られた数である。そして質問文は、短期の数字のために、ではなく、でこぼこした利益の道筋を避けるために、と訊いている。