恋愛・結婚
愛着安定性
「あなたの愛着タイプ」の起源は、1985年の新聞アンケートの三択である
米国・2007年の研究は、面接で測った愛着の安定と自己申告の尺度で測った愛着の次元の重なりを、10本の研究・合算961人で平均 r = .09(範囲 .02〜.17)と報告した。2015年に2,399人と2,300人を分析した研究は、個人差が類型ではなく次元と一致すると結論している。箱は無い。あるのは二本の目盛りである。
自己開示能力
「36の質問」の実験が測ったのは、直後の近さと「また会いたい」までである
米国・2024年に発表された研究は、自己開示を促す質問と協同課題を9歳から13歳の131組(262人)にオンラインで実施し、直後の近さ(4.18 対 3.32、d = .67)と今後会いたい気持ち(5.75 対 5.39、d = .41)が対照条件より高いと報告した。同じ論文の限界の節に、その後も一緒に過ごし続けたかは測っていないと書かれている。
自己呈示能力
後年の査読誌の検討によれば、7-38-55 の比率は1967年の二つの研究から導かれており、どちらの研究も言語・声・顔の三つを同時に比べてはいない。式を作った本人も、感情や態度の伝達を扱った実験から出た式であり、そうでない場面には当てはまらないと公開の場で書いている。一方、5分未満の観察から客観的な結果を当てる正確さは、38の結果を統合して r = .39 という実データがある。
情動調整力
サンドバッグを叩いた群のほうが、何もしなかった群より怒っていた
米国・2002年の実験では、怒らせた相手のことを考えながらサンドバッグを叩いた群が、何もせず静かに座っていた群より怒りも攻撃も高かった。154研究・184標本・10,189人のメタ分析でも、覚醒を上げる活動は全体として無効(g = −0.02)だった。一方、抑制のコストは本人の中ではなく、話し相手の血圧とラポールを測って初めて数字になる。
適合性評価力
機械は、誰が好かれるかは当てた。この二人だから、の部分だけ当てられなかった
米国・2005年と2007年に行われたスピードデート研究で、事前の自己申告から本人由来の欲求は4〜18%、相手由来は7〜27%が説明できた。片方の標本で作ったモデルをもう片方に当てたとき、二人組由来の欲求について予測できたのは分散の0.1%未満である。
関心シグナル知覚力
米国・2015年に面識のない52組(104名)が10〜12分会話した研究では、全体の正答率は69%と71%だった。内訳を開けると、相手がしていなかった場面は83〜84%、していた場面は18〜36%である。しかも、自分はしたと申告したのは104名のうち25名である。
認知バイアス管理
1974年の吊り橋の実験を、2012年にポーランドの査読誌が数え直した。電話番号を受け取ったのは23名中18名と22名中16名でほぼ同じ。差がついたのは電話をかけた9名と2名で、オッズ比7の95%信頼区間は1.22から40.13まで開いている。
選好の現実的柔軟性
事前に書いた条件は、その日の相手を予測しなかった。行き先だけは予測した
米国・2008年、学部生163名が1回4分のスピードデートを9〜13回行い、30日間追跡された。事前に述べた重視度と実際の相手への関心の相関は72個中、有意で正が2個、有意で負が1個。要旨は、事前の理想はその日の欲求を予測しなかった、と書いている。
接触・近接の行動力
米国・2025年に出た事前登録の追試は、学部生801人で「もっと知ると好意は下がる」という逆説を確かめにいった。効果は r(799) = −0.027 まで薄くなり、信頼区間は0をまたいだ。ただし、消えなかったものが一つある——知れば好きになるはずだ、という信念のほうである。
対話表現力
米国・1992年の52組で93.6%。同じ種類の式を別のデータで試すと、離婚すると当てた組が実際に離婚していた割合は65%から28.81%へ落ち、人口の離婚率16%に重みを戻すと20.99%になる。そして提唱者側は、1992年の論文に「これは事後分析であり交差検証を必要とする」と自分で書いている。
感情的応答性
米国・2024年に Current Directions in Psychological Science へ出た総説は、三つの前提——人には好みの言語がある/言語は五つある/相手の言語を話すと満足する——を順に検討した。三つめについては、支持した研究が一つも見つかっていない。ただし測り方を連続量に変えると、相関は出る。
初期葛藤対応力
平均を見れば、要求と引きこもりの型は関係の質と r = .360 で結びつく(74研究・14,255人)。ところが条件で割ると向きが変わる。問題の深刻さでも、社会経済的な条件でも、同じ振る舞いの長期の効果が逆を向いた。どう振る舞うべきかは、ここには書かない。
コミットメント形成力
続けるかどうかは、状態ではなく判断として扱える。ただしその判断の材料になるはずの数字は、誰を数えるかで結論が割れ、同じ学術誌の同じ号の260ページと268ページで往復になったまま止まっている。
関係投資行動
よく引かれる「β=.45」は、βではなかった。相関の .46 である
投資とコミットメントは、確かに一緒に動く。ただしそれは、同じ人に同じ日に訊いた二つの答えが一緒に動いた、ということでもある。どちらが先かは、この統合からは出てこない。
関係修復・再調整力
修復の技法にも、カップル向けのプログラムにも、効果は測られている。ただし改善した指標と改善しなかった指標を並べて置くと、いちばん知りたかったほうが動いていない。
共同未来構築力
「3組に1組が離婚」は公的資料にある。ただし離婚件数÷婚姻件数ではない
「私たち」と言う人の関係はうまくいく——30研究5,288人を統合した相関は r = .075(四捨五入して .08)だった。そして3組に1組の分子と分母は、同じ集団ではない。この先を描くために手元にある数字は、思っているよりずっと少ない。