開運
行動量
運のいい人の共通点が必ず見つかるのは、運の悪かった人を数えていないからだ
米国のピュー研究所が2024年に9,593人へ行った調査では、占いの類を年に1回以上使う人は30%いるが、大きな決断でかなり頼る人は1%だった。市場は巨大で、検証は小さい。厄介なのは、運は科学的に良くできると言う側も同じ手つきをしていることだ。この単位は、その手つきを値切り、残るものだけを扱う——上がるのは打率ではなく、打席数のほうである。
行動多様性
多様性が能力に勝つという有名な結論は、実験の結果ではなく、証明された定理である
多様性ボーナスの出どころは2004年の数理モデルであって、職場から集めたデータではない。チームの多様性のメタ分析(146件の研究・612の効果量)では、属性の多様性は r=.02 で有意ではなく、課題関連の多様性が r=.05 で有意だが小さい。それでも幅には使い道がある——1,790万本の論文が示したのは、典型的な土台の裾にだけ異例を混ぜる配合だった。
タイミング制御
最初の37%を見送れという助言には、現実がほとんど満たさない4つの前提がある
最初の37%を見送るという有名な規則は、候補が順に来て、比較しかできず、やり直せず、最良でなければ価値がゼロという4つの前提の上でだけ成り立つ。Kelly 基準は破産を避けるための資金配分の数学であって、参入時期を当てる道具ではない。実測のほうを見ると、市場に最初に参入したブランドの47%は消えていた。
損切り速度
やめ遅れには名前が付いている。やめ急ぎには付いていない——記録に残らないからだ
米国の劇場の実験では、同じ内容の券でも、定価で買った人は前半5演目で平均4.11枚、7ドル引きで買った人は3.29枚を使った。もう戻らない支出が判断に入り込む。ただしメタ分析での効果量は d=0.496 の中程度で、場面によって濃さが変わる。しかも人間以外の動物では、この誤りの曖昧さのない例が見つかっていない。
チャンス察知
米国・1999年の実験では、パスの回数を数えていた観察者192人の46%が、画面を約5秒だけ横切った予期せぬ出来事——ゴリラの着ぐるみか、傘をさした女性——に気づかなかった。2013年には、経験を積んだ放射線科医24人の83%がCT画像のゴリラを見落とし、その多くはそこを直接見ていた。この単位は、感度ではなく見落としの量を扱う。
バイアス管理
米国・1988年の研究では、中身が同じ選択肢でも「これが現在の状態です」と添えられるだけで選ばれやすくなった。英国・1960年の課題では、29人のうち最初の宣言で規則に到達したのは6人だった。この単位はこの2つだけを扱い、バイアスの総覧はやらない。
期待値思考
期待値は、100人ぶんの平均であって、あなたの一生の平均ではない
コインを投げ、表なら手持ちが1.5倍、裏なら0.6倍になる賭けがある。1回あたりの期待変化はプラス5%。ところが一人が続けると、手持ちはおよそ1回あたり5%ずつ減っていく。同じ賭けである。この単位は、その食い違いから始める。
準備状態
「幸運とは準備が機会に出会うことである」はセネカの言葉として流通しているが、現存作品を検索しても対応箇所にたどり着けない。一方、1854年12月7日のパスツールの一節——観察の場において、偶然は準備された心にのみ味方する——は原典が残っている。この単位は準備状態を、心構えではなく応答の速さとして扱う。
弱い紐帯の幅
56%は「弱い紐帯」の割合ではない——原典に書いてあるのは別の数字だ
米国マサチューセッツ州ニュートンの専門職・技術職・管理職の男性282人のうち、およそ56%が人づてで職を得た。その人づての内訳は、面接標本の54人では、相手と週2回以上会っていたのが16.7%、年1回以下が27.8%、残る55.6%がその中間である。2022年にScienceへ出た2000万人超・5年の実験は、最も効くのが最も弱い紐帯ではなく中程度に弱い紐帯だという逆U字を報告した。
情報仲介力
橋の上に立つと評価が上がる——その原典は「これは因果ではありえない」と書いている
2001年、米国の大手電子機器メーカー1社のサプライチェーン部門で、管理職673人を1回だけ測った横断データがある。示されたのは、離れた集団のあいだに立つ人ほど給与が高く良いアイデアだと評定される、という関連である。138の独立標本を統合したメタ分析では、この位置と仕事の成果の関連は β=0.03 で、統計的に有意ではなかった。
信頼残高
信頼は残高ではない——積むのに数年、崩れるのに一度、そして戻り方は2種類ある
米国で1993年に発表された調査では、原子力発電所に関する45の仮想の出来事のうち、信頼を下げる出来事に強い影響ありと答えたのが50.0%、対応する上げる出来事では18.3%だった。国の単位では、信頼できると答えた人の割合が10ポイント高い国は年成長率が0.8ポイント高い。ただしそれは29か国の話であって、あなたの1年の話ではない。
運の伝播受容性
延べ1万4千人を超える見知らぬ相手への依頼を集約すると、人は応じてもらえる確率を平均48%低く見積もっていた。ただしこれは頼む側の話である。受け取る側については別の非対称が測られていて、恩の価値は受け取った側で時間とともに下がり、与えた側で上がる。米国の大学病院の18,515件の寄付依頼では、依頼が30日遅れるごとに寄付する確率がおよそ30%下がった。
心理的回復力
回復力の目安とされた 2.9013 という比率は、2013年に数式ごと撤回されている
2005年に American Psychologist で示された 2.9013 という臨界比は、2013年に無効として数式部分が撤回された。回復力の訓練プログラムを集めた無作為化試験25件・782人のメタ分析では標準化平均差 0.37、追跡は3か月以内。この単位が扱うのは気分ではなく、断られたあとの再試行率という一点である。
財務的余裕
余裕が買っているのは安心ではない。断る権利と、次の球を待つ時間である
オーストリアの50万人超の行政データでは、給与2か月分の一時金を受け取れる条件で再就職率が8〜12%下がり、給付期間が長い側は再就職後の賃金が高かった。一方、欠乏がIQを13ポイント相当下げるという2013年の主張の周辺では、20件の追試のうち有意になったのは4件だった。この単位が扱うのは金額ではなく、機会を待てる時間だけである。
身体的持続力
イスラエルの仮釈放1,112件の分析は有名だが、2011年のうちに順序による説明が同じ雑誌へ提出され、2016年の再分析は大部分が時間管理で説明できると結論した。置き換えて使えるのは、48人を14日間観察した2003年の睡眠制限実験——成績は落ち続けるのに、本人の眠気の自覚は途中で頭打ちになる。
長期視点保持
4歳の待機時間が15歳を予測する力は、家庭の背景を入れると3分の2が消える
2018年の概念的追試では、4歳時点で1分長く待てることは15歳の学力の約10分の1標準偏差に対応し、その相関は原著の半分、家庭の背景・初期の認知能力・家庭環境を統制するとさらに3分の2が消えた。GRITも88標本・66,807人のメタ分析で誠実性とほぼ重なる。この単位が扱うのは時間割引と待機だけである。